犬山市の主なハザードと「停電の現実」

1) 洪水・内水氾濫（木曽川・郷瀬川・新郷瀬川・新川流域）

犬山市が公開するハザードマップでは、木曽川や郷瀬川等で想定最大規模（L2）の降雨時に広域で浸水が想定され、木曽川近接部では5〜10mの浸水深が見込まれる地区も示されています。内水（雨水起因）についても北部・南部で別図が整備され、道路冠水・家屋浸水の可能性が明確化されています。

2) 土砂災害（丘陵部・谷筋）

東部・西部の土砂災害ハザードマップでは、急傾斜地の崩壊や土石流の警戒区域・特別警戒区域が点在。短時間強雨時には通行止めや孤立、配電設備の障害が発生しやすく、復旧までの時間が読みにくくなります。

3) 地震（南海トラフ想定）

犬山市の最大想定モデルでは震度5弱〜6弱の揺れが想定。南海トラフ地震は国・県の公表でも30年発生確率70〜80％等の高いリスクが継続して示され、停電や物資逼迫が長期化する前提が必要です。

蓄電池を導入する防災上の理由

理由1｜計画停電ではない「長期・広域停電」に耐える

洪水・土砂災害・地震では、倒木・浸水・土砂流入で配電設備や変電所が被災し、復旧が数日〜数週間単位になる事例があります。非常用発電機や車載給電だけでは給油・騒音・排気・運転時間の制約が大きい一方、据置型蓄電池は夜間も静粛に継続運転でき、生活必需家電の計画的な間欠運転で在宅避難の現実味が増します。

理由2｜在宅避難の質を上げる（冷蔵・通信・照明の維持）

避難所が満員・遠距離・家族事情で難しい場合、家に留まる選択が現実的です。冷蔵庫・通信（ONU/ルーター・スマホ）・照明・サーキュレーター・給湯制御など、小〜中電力を優先順位高く運転できれば、健康・衛生・情報の3本柱を維持できます。特定負荷型でも優先回路を設計すれば、必要最小限の生活機能は確保可能です。

理由3｜浸水時の移動制約に備えた電源確保

犬山市ではL2洪水で深い浸水が想定される地区があり、幹線道路や橋梁の通行止めが起きると燃料・電池の現地調達が困難に。平時に満充電→停電時は節電運用というストック型の電源は、物資途絶・移動不能時の最後の砦になります。

理由4｜要配慮家電を止めない（医療・介護・在宅ワーク）

在宅酸素・CPAP・電動ベッド・見守りカメラ・電子保温等、停止が命や生活の質に直結する家電のバックアップが可能。停電時のヒューマンエラー（延長コード多用・発電機の屋内使用）を避け、安全に電源を確保できます。

理由5｜地震での「通電火災・余震」リスク下でも静粛連続運転

大地震直後はガス系・発電機の取り扱いが難しく、余震が続くと戸外作業も危険。屋内から遠隔/アプリで出力管理できる蓄電池は、夜間・荒天でも扱いやすい電源です。

理由6｜地域の助け合いに使える（スマホ充電・ポータブル給電）

据置き蓄電池＋非常用コンセント／V2H等があれば、近隣のスマホ充電・医療機器の一時給電など、マイクロ避難所的な機能を自宅で担えます。

犬山市で導入する際の実務ポイント

1｜住所ベースで浸水深と土砂を先に確認

• 外水（木曽川・郷瀬川・新郷瀬川・新川流域）のL2浸水深、内水（雨水）リスクを地番で確認
• 東部・西部の土砂災害（警戒/特別警戒）該当の有無を確認

2｜浸水想定がある場合の設置高さと設置場所

• 屋外据置きはかさ上げや高所壁付け、屋内は1階床上浸水の想定に応じて階層を検討
• 屋外は飛来物・冠水・塩害（河川霧）・直射・積雪の対策

3｜容量・出力の考え方（目安）

• 7〜12kWh／2.5〜5kVA：冷蔵・通信・照明・サーキュレーター中心で1〜2日の間欠運用
• 12〜16kWh以上：エコキュートの学習運転や電子レンジ短時間なども視野
• IH・エアコン常用は出力依存。夏季・猛暑日は扇風機＋遮熱で現実的運用を

4｜地震想定下の固定・配線・転倒対策

• アンカー固定／耐震金物／配線余長の逃がし
• 非常用コンセント位置は夜間でも安全に手が届く高さ・導線に

5｜アプリ監視と訓練で“使える備え”にする

• 月1回、擬似停電訓練（ブレーカー遮断→優先家電のみ運転）
• 非常食・水・トイレ・灯りとセットで計画（電力だけでは備えは完結しない）

広域地震リスクの背景を知る（南海トラフ）

政府・県の公表では、南海トラフ巨大地震の30年発生確率に関し70〜80％など高い水準が長年示され、近年も推定方法の違いによる幅を持ちながら高リスク評価が継続しています。犬山市の想定震度は5弱〜6弱のレンジですが、ライフライン寸断と長期停電は地域を超えて連鎖します。家庭単位の電力自給余力（蓄電池・太陽光・V2H）は、復旧初期の不確実性を埋める現実解です。

まとめ｜犬山市で「蓄電池」を選ぶ意味

犬山市は河川由来の浸水と広域地震の両面リスクを抱える土地柄。避難所への集約が難しい時代だからこそ、在宅避難を成立させる電源＝蓄電池の価値が高まっています。住所ごとの浸水深・土砂の確認、優先家電の特定、現実的な容量と設置計画――この3点を押さえて、「停電を恐れない暮らし」へ一歩を。